ミャンマー北部のシャン州は、かつて、麻薬の原料となるケシの生産地でした。1996年、日本政府はミャンマー政府の要請によりケシ撲滅のための支援に着手。信州大学農学部の氏原博士は、冷涼な高地であるシャン州はソバ栽培に適していると提言し、ケシの代替作物としてソバを導入するプロジェクトがスタートしました。 1997年、信州大学を退官した氏原博士は、JICA専門家としてシャン州最北のコーカン地区に赴き、4年間、栽培技術を指導し、収穫にこぎつけました。 プロジェクトの経緯と詳細→
プロジェクトでは、ミャンマーで収穫されたソバを日本に輸出することが前提でしたが、販路の確立にはいたらず、JICAの事業は終了しました。JICAの事業は終了したものの、シャン州の農家はソバを栽培しつづけました。そこで、氏原博士がNPO法人アジア麻薬・貧困撲滅協会を設立し、ケシ栽培の撲滅と貧困の解消を目的に事業を継続することになりました。
国際支援を受けたミャンマー政府による麻薬撲滅への取り組みは一定の成果をあげ、ミャンマー国内でのケシ栽培は激減しました。しかしながらミャンマー山岳部に暮らす少数民族がソバ栽培を今後も継続し、安定的な収入を得るためには、日本での消費拡大が必須条件となります。 私たちは、多くの日本の協力者のお力添えをいただきながら、有機肥料を用いた安全なソバ栽培を現地で指導するとともに、ミャンマー高原産そばのブランド化と日本での普及を進めています。
現在、シャン州のチャウメ、タウンジーを中心とした地域でソバの栽培を展開しています。標高は800mから1,500mの高地で、美味しいソバの条件とされる冷涼な気候条件のもとで栽培をしています。
ミャンマーで栽培しているソバは、北海道から導入したキタワセ種です。ソバの原産地である中国雲南省に近いシャン州では、品質のよいソバが実ります。
生産者から適正な価格で継続的に購入することを通じて、少数民族地域の農家の生活向上を支援することが、私たちの活動の目的です。適正な価格で日本に輸入するには、日本で競争力のあるソバであることが必要です。私たちは、農薬を使用しない安心・安全なソバ栽培を指導し、また有機肥料を用いた美味しいソバづくりを進めています。
ソバ栽培の担い手の多くは、少数民族の女性たちです。今後は女性の力をひきだすプロジェクトを推進していきます。